ストレス・マネジメントが求められる背景

職場のストレス

日本人が特にストレスを感じやすい場所は職場です。仕事のストレスによるメンタルヘルスの不調やパフォーマンスの低下、退職や長期休業などの問題は年々増加しています。ストレスを完全に取り除くことはできませんが、ストレスの原因や関わり方を見直し、心身に影響が出ないレベルにストレスをコントロールする必要があります。心の負担を軽減するだけではなく、肉体的な健康を維持するためにも必要な取り組みです。

求められる理由

ストレスに起因する病気として真っ先に思い付くのはうつ病などの精神疾患でしょう。しかし、ストレスは脳梗塞や心筋梗塞などの肉体的な疾患を引き起こす原因にもなり得ます。国がストレス・マネジメントを重要視している理由として医療費の削減が挙げられますが、その他にも劣悪な労働環境や過労自殺などの問題もあります。厚生労働省の調査によれば、「現在職場で強いストレスを抱えている」と答えた労働者は全体の約6割もいることが分かっています。労働者の半分以上は何らかの精神的な問題を抱えているのです。
職場は人生の中で多くの時間を過ごす場所です。そういった場所で常にストレスを抱えている状況は非常に危険です。仕事のパフォーマンスが低下し、能率が下がることで経済全体が落ち込みます。また、パフォーマンスが低下することでさらにストレスが溜まり、労働者本人が追い込まれるという負のスパイラルが生まれます。多くの職場では肉体的なストレスの軽減に努めていますが、それと同時にストレス・マネジメントへの取り組みも求められます。

現状

自殺対策法や過労死等防止対策推進法の制度化、ストレスチェックの義務化など、国は積極的にストレス・マネジメントへの取り組みを強化しています。しかし、実際に取り組んでいる事業所の数はなかなか増えていないのが現状です。また、ストレスチェックを実行しても、その結果を環境整備に活用している事業所は少ないようです。以下に、労働安全衛生調査結果の概況を掲載しているページを紹介しますので参考にしてください。

こちらの厚生労働省が公表しているデータを見ると、実際に環境整備に取り組めている事業所はまだ少ないことが分かります。

この状況を改善するため、労総基準監督の体制整備などを行い、指導を徹底するなどのさらなる取り組み強化が行われています。これからは、ストレス・マネジメントの重要性がより高まっていくことが予想されます。